教会の前を通る二人。親子なのか恋人同士なのか夫婦なのか。はたまた行きずりのひとなのか。吹雪の中素足で歩く。破れた服。怪我をしている。どこまで歩いていけるのだろう。誰か手をさしのべてくれるだろうか。彼らにどんな顛末があったのだろうか。
【幸福の王子】
オスカー・ワイルド作の物語。町の高い所にその王子の像はあった。目はサファイア、剣にはルビーの装飾、純金で覆われた体。そこへ一羽のツバメが王子の足の間にとまりました。雨粒が落ちてくる。でも雲は一つもなく星が輝いているのに。よく見ると王子が泣いていました。「あなたは誰ですか。」「わたしは幸福の王子です。」王子が生きていたころ何不自由なく育っていたのでみんなからそう呼ばれていました。「なぜ泣いているのです。」「この高い場所から町中の悲惨な事が見えてしまうのです。心臓が鉛でできているけれど泣かずにはいられない。」
王子はツバメに言いました。「小さなツバメさん。あそこの婦人にこの剣のルビーを渡しておくれ。」婦人はお針子をしていたが貧しく痩せこけていた。病気の幼子は水しか飲むものがなかった。ツバメはエジプトに行きたかったし、子供達を好きではなかったので(石を投げられたから)断りたかったが王子の悲しみがわかりお使いをしました。
「ツバメさん、小さいなツバメさん。今度はあの屋根裏部屋の若者の所に行っておくれ。」その若者は芝居を完成させたかったが暖炉の火は消えそうで寒くてひもじかった。ツバメは泣く々王子に言われたとおり片方の目のサファイアを取りお使いをしました。
「ツバメさん、もう一泊していっておくれ。」「でももう冬です。まもなく雪も降るでしょう。エジプトに行かなくてはなりません。来年の春に帰ってきます。あげた二つの宝石の代わりに美しい宝石を二つ持って来ますから。」
「ツバメさん、下の広場にマッチ売りの少女がいます。マッチを溝に落としてしまった。お金を稼げずお父さんにぶたれるでしょう。素足で頭にかぶる物もない。彼女にもう片方のサファイアを持って行っておくれ。」「わたしにはできません。そんな事をしたらあなたは目が見えなくなってしまう。」今度も王子の強い意思にまけてツバメはお使いをしました。
ツバメは目の見えなくなった王子のそばにいる事を決め王子の足元で眠りました。翌日ツバメは旅であった珍しい出来事を王子に話すのでした。王子はその話に驚きますが、苦しみを受けている人のみじめな光景以上の驚きや謎はないだろうと言います。
「ツバメさん、町へ行っておくれ。そして町で見たことを話しておくれ。」ツバメは町に行き見るのでした。金持ちの大きな家で幸せに暮らす人。乞食。お腹を空かし寒さをしのぐ為に橋の下で抱き合う子供。それを追い払う夜警。雨の中さ迷う子供。
ツバメは王子に見たことを話すのでした。王子は言いました。「わたしの体は純金で覆われています。それを一枚ずつ剥がして貧しい人にあげてくおくれ。」
王子はすべての純金をあげてしまい色あせてしまいました。ツバメは力尽き死を覚悟します。王子の唇にキスをして息絶え王子の足元に落ちました。その瞬間、王子の中で何かが砕けました。鉛の心臓が割れた音でした。
翌日の朝、市長が言いました。「何てみすぼらしい像なのだ。」市会議員たちも言いました。「何てみすぼらしい像なのだ。」… 乞食の様だし死んだ鳥もいる。美しくないので台座から降ろされ溶鉱炉で溶かすことになりました。彼らは像を溶かした後は「自分の像を作る。」と口論になりました。
王子の鉛の心臓は溶かすことができず捨てられました。そこにはあのツバメも捨てられていました。そこへ天使がやってきて鉛の心臓とツバメを神様の所へ持っていきました。すると神様は王子とツバメを天上界で暮らせるようにしました…♡
